道路のバリアフリー化の状況と今後の目標

 

<道路におけるバリアフリー>

◆道路のバリアフリー化における状況

 建設省(現在は国土交通省)においては、道路整備五箇年計画(平成10年5月閣議決定)においても定められているとおり、高齢者、障害者等の社会参加の機会の増大にも対応した幅の広い歩道等の整備を促進し、よりよい生活環境の確保のための道路整備を推進することが重要と認識している。このため、従来より道路の新設や改築時におけるバリアフリーの構造による整備の推進、市街地の駅、商店街、公共施設等の主要施設周辺におけるバリアフリーの歩行空間ネットワークの確保等を図ることとしている。具体的には、幅の広い歩道の整備、既設歩道の段差、傾斜、勾配の改善、エレベーター付き立体横断施設の整備等を推進している。

 なお、これらの事業により平成9年度末における歩道等の整備率は53%(137000km)、このうち幅3m以上の歩道が28%(37000km)となっており、これらを平成14年度末までには、それぞれ62%(162000km)、40%(51500km)とするとともに、バリアフリー歩行空間が整備されている地区を3200地区とすることを目標としている。

◆ 高齢者、身体障害者に配慮した信号機の設置状況

 高齢者、身体障害者に配慮した信号機とは、

  1. 身体障害者を対象とするものとして、歩行者青時間を電子音又はメロディにより知らせる視覚障害者用付加装置、歩行者青時間の開始をチャイム等で知らせる音響式歩行者誘導付加装置
  2. 高齢者等を対象とするものとして、押ボタンや携帯用の発信機を操作することにより歩行者青時間を延長する高齢者等感応信号機、歩行者の有無及び量に応じて歩行者青時間を延長する歩行者感応信号機

がある。これらの信号機については、平成11年度末現在で、

  1. 1 視覚障害者用付加装置 10155基
  2. 2 音響式歩行者誘導付加装置 727基
  3. 3 高齢者等感応信号機 2834基
  4. 4 歩行者感応信号機 737基

が整備されている。

◆ 点字ブロック

 点字ブロックというのは実は商標で、商標権は岡山市にある安全交通試験研究センターが保持している。注意深い文書では「視覚障害者用注意喚起床材」と記しているものもある。

 点字ブロックの機能として、進路を示す誘導ブロックと注意を喚起する警告ブロックとがる。

 原則として、色は黄色で一辺が30cmであるが、最近では“景観に配慮した”という理由で、床材と同系色に着色されたものや床のデザインの一部のように着色されているものもある。また一辺が10cm程度のものや突起部分だけ黄色に着色されているものもある。視覚障害者といった時にイメージとして、全く視力を失ってしまった人を思い浮かべる人も多いと思う。しかし、視覚障害者の大半は弱視者である。弱視者の中には床に敷かれた誘導ブロックによって方向性を確認する人もいる。だから床材と対照的効果の大きい黄色が望ましいとされている。しかし白内障の弱視者の場合、黄色が視認しにくいという指摘もある。またクリーム色系の床材に黄色というように、必ずしも対比が鮮やかにならないという場合もある。

 点字ブロックが普及されている場所でさえ、点字ブロックの上に自転車や自動車、看板、商品などを置いている事例は街中にあふれている。ひとりひとりの気遣いで今日からでもバリアフリーな街づくりはできるはずである。

 

<明石市内の道路の現状>

 道路を作る上で注意すべき点は、段差は極力なくし、また段差がある場合でもその段差の存在を目立たせること、滑りやすい床材は避けることが挙げられる。高齢になると転倒は大きなけがのもとになる。頭部打撲や手足の骨折などの重傷事故を招き、死に至る場合もある。

011 013

↑ 大久保駅近辺国道2号線

★問題点★

015

↑ 山陽電車西新町駅

★問題点★

★疑問点★

 

<今後の街づくり>

 今回調査した場所はほんの一例でしか過ぎず、至るところに“中途半端な親切”と思われる箇所は多々ある。誰もが使いやすいようにと思って作られたものが、かえって使い辛かったり危険であったりすることも少なくない。こういった現状があるのは、作る前での点検、体験や作った後のアフタケアーを怠った結果だと言える。しかし、実際にそういった使い辛い箇所に気付いていても、費用や周囲の環境上の問題、設備上そうせざるを得ない状況にあるなど、そのまま放置されている場合も少なくはないようである。

 バリアフリーな街を作るには、ひとりひとりの観察力と状況判断が必要であると思う。身体に障害のある人が暮らしやすい街ということを意識しはじめ、さらに今後急速に高齢化が進んでいくであろう日本社会の中で、ユニバーサルデザイン、バリアフリーが注目される中、個性的なものや独創的なバリアフリーグッズはこれからも広がっていくと思う。しかし、利用者にとって不統一性というのもバリアになることを忘れずに、誰がなんのために使うのかということを前提に提案、提供していかなければならない。バリアフリー化はまだ始まったばかりである。街中で見かける的外れな光景もそのためである。だからこそ、それがどうおかしいのか、どうすればいいのかを常に意識することが必要であると思う。

 しかし街中が設備面でバリアフリーになるまでにはまだまだ費用と時間がかかる。設備面での充実も必要なことではあるが、“心のバリアフリー”は今日からでもひとりひとりの意識で始める事ができるし、こちらも大切なことである。

 

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